今日の随筆
罗刹海市/羅刹海市の日本語訳(2023/09/02)
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罗刹国向东两万六千里
过七冲越焦海三寸的黄泥地
只为那有一条一丘河
河水流过苟苟营
羅刹国から26,000里(13,000キロメートル)東へ旅に
七沖を過ぎて、焦海を越えて、三寸の黄色い泥地に着く。
そこを流れる一丘河という川のおかげで、苟苟営という宿に着く
漢方医学において、七沖と焦海と三寸という地名は、すべて人間の消化器の中の各器官の名称だ。
「一丘河」は、一丘之貉’(いっきゅうのかく)という熟語を思わせる名称だ。
「苟苟営」は、「狗苟蝇営」という熟語を思わせる名称だ。)
苟苟营当家的叉杆儿唤作马户
十里花场有浑名
她两耳傍肩三孔鼻
未曾开言先转腚
每一日蹲窝里把蛋来卧
老粉嘴多半辈儿以为自己是只鸡
この苟苟営(=売春宿)の主人は馬戸という名前で
この界隈ではかなり有名だ。
彼女は耳たぶが肩まで垂れて、三つの鼻穴を持っている
彼女は喋るよりよく臀部の向きを変えて自分の主張を伝える
彼女は毎日鶏小屋でしゃがんで卵を温める
人生の半分を過ぎたこの彼女がなんと自分をニワトリだと思ってきた
「叉杆儿」や「老粉嘴」は売春宿の経営者を意味する。
簡体字では 馬+戸=驢{ロバ}
那马户不知道他是一头驴
那又鸟不知道他是一只鸡
勾栏从来扮高雅
自古公公好威名
哎哎哎呀
あの馬戸は自分がロバであることを知らない
あの又鳥は自分がニワトリであることを知らない
売春婦はいつもエレガントに振る舞う
古くから宦官達は男らしさを好む
又鳥は、もう一人の人物だ。漢字の簡体字では、又+鸟=鶏
宦官は、去勢された男子で宮廷に仕えた者
打西边来了一个小伙儿他叫马骥
美丰姿 少倜傥 华夏的子弟
只为他人海泛舟搏风打浪
龙游险滩流落恶地
馬驥という若者が西からやって来た
彼は、ハンサムで格好よく爽やかな中国人だ
海の船旅中、荒波に遭遇したため、
浅瀬に座礁して不気味な国に迷い込んだ。
他见这罗刹国里常颠倒
马户爱听那又鸟的曲
三更的草鸡打鸣当司晨
半扇门楣上裱真情
彼は羅刹国で常識に反するものをよく目にする
馬戸は又鳥の唄が気に入った
夜半の三更に、めんどりがおんどりの真似をして鳴く
売春屋のドアの上枠に「真剣恋愛」という張り紙が貼ってある
羅刹国では、美と醜の判断基準かとが常識と逆だ
「半扇门」は、片方の扉の意味で、個人売春屋を指す。
它红描翅那个黑画皮
绿绣鸡冠金镶蹄
可是那从来煤蛋儿生来就黑
不管你咋样洗呀那也是个脏东西
彼らは、翼を赤に、体を黒に、
冠を緑に、蹄を金色に、化粧する
石炭ボールが生まれつきの黒顔なんで、
いくら洗っても黒のままだ。
那马户不知道他是一头驴
那又鸟不知道他是一只鸡
岂有画堂登猪狗
哪来鞋拔作如意
哎哎哎呀
あの馬戸は自分がロバであることを知らない
あの又鳥は自分がニワトリであることを知らない
豚や犬を上品な場所に入れるわけにはいかない!
靴べらを如意(にょい)としてはいけない!
它红描翅那个黑画皮
绿绣鸡冠金镶蹄
可是那从来煤蛋儿生来就黑
不管你咋样洗呀那也是个脏东西
彼らは、翼を赤に、体を黒に、
冠を緑に、蹄を金色に、化粧する
石炭ボールが生まれつきの黒顔なので、
いくら洗っても黒のままだ。
爱字有心心有好歹
百样爱也有千样的坏
女子为好非全都好
还有黄蜂尾上针
愛という文字に心があるけど、心も善と悪に分かれる
愛には百の種類もあれば、悪には千の種類もある。
女+子=「好」(善良)だけど、すべての女子が善良とは言い切れない。
スズメバチの毒針よりも強い猛毒を持ってる女も多々いる。
西边的欧钢有老板
生儿维特根斯坦
他言说马户驴又鸟鸡
到底 那马户是驴 还是 驴是又鸟鸡
那驴是鸡那个鸡是驴
那鸡是驴那个驴是鸡
那马户又鸟
是我们人类根本的问题
西にはヨーロッパ鉄鋼会社の社長が居て
ウィトゲンシュタインっていう息子をを生んだ
ウィトゲンシュタインは言う。馬戸ロバ及び又鳥ニワトリについては、
いったいあの馬戸はロバなのか、それともロバは又鳥ニワトリなのか?
あのロバがニワトリなの、あのニワトリがロバなの、
あのニワトリがロバなの、あのロバがニワトリなの!?
実は、馬戸と又鳥が居るのは
我々人類の根本的な問題だ。